2015年5月1日金曜日

G.I.S.M. - Determination

突然リリースされたG.I.S.M.の編集盤「Determination」。

1stアルバムの「Detestation」はもちろん「OUTSIDER」「ハードコア不法集会」「GREAT PUNK HITS」や宝島のカセットブックに収録されていた曲が収録されたベストアルバム。実際の話、リリースされるとアナウンスされてもほとんどの人は実物を見るまでは信用出来ないと思っていたのではないだろうか?というのもG.I.S.M.のこのあたりの曲はすべて封印されているという都市伝説が有ったからだ。過去にCD化された「GREAT PUNK HITS」はすぐに廃盤になりその後ずっと再発されず、G.I.S.M.のことを書いたブログは削除され、YOUTUBEに上げたビデオはすぐに削除されるというのが定説だった。活動当時の数々の伝説とともにG.I.S.M.という名は「触れてはいけないもの」として当時を知るものたちは扱ってきた。

もっとはっきり言うとその名を口にすることである種の災いが起こると信じられていた!

 しかしこれだけ幻と言われていた音楽が再発されたり、だれでも自由に聞けるようになっている中で30年以上も何かの意思によって封印出来たというのはすごいことだと思う。(実際にはその間も数々の音の悪いブートレッグが作られたりしていたのだが、それを作って売ったものたちにはある種の災いが起こったと信じられている)そして突然2015年にその封印が解かれるのであるからこれは事件としか言いようがない。

 しかも今回は全曲リマスターされると聞いていたのでクリアーな音になったG.I.S.M.に期待して、聞いてみた....


 「何か違う」


 これが偽らざる第1印象。確かに原曲は変なイコライジングされてベースが全く聞こえなかったり、意図した音では無かった部分が解消されていて30年経って本来のあるべき姿になったと言えるだろう。でも、それがいいか悪いかと言われるとどっちだかわからない。

 例えば「Endless Blockades For The PussyFooter」はオリジナルのレコードで聞くとギターのハーモニクスがイコライザーで強調されて聞いててキンキンしていたのが、リマスターではそこが抑えられてその分ボーカルが前面に出てクリアーになっている。他の曲も今風の音圧の有るリマスタリングされているので30年前の音楽だがちゃんと今の音楽といっしょに聞いても遜色が無い感じだ。そこには何かの意思の存在の心の変化を感じずにはいられない。

それでもやはり「何か違う」という感じが拭えないのだ。

 で、記憶をさかのぼっていけば83年当時、まだインディーズなんて言われていない自主制作盤の「Detestation」を聞いた時の衝撃とは家で家族とテレビを見ていたら電波ジャックで死体のビデオが流れてきたようなものだった。それまでパンクだと思って聞いていたSEX PISTOLSやTHE CLASHがお上品としか思えないくらい「地獄の門が開いてしまったような異様な音楽」。それがハードコアパンクとの出会いだった。10代の頃に「その日の前とそれ以降」の区切りがはっきりと分かるくらいの衝撃的な日が有るとしたらそれがその日だ。 

その地獄から来た異様な音楽のインパクトの一部としてあの狂ったジャケットといっしょに普通のレコード屋で売っている音楽ではあり得ないあの狂った音質というのも有った。聞いてるだけで心の奥底を揺さぶられるような聞いてはいけないものを聞いているのでは無いかというあの音。

そこが解消されてしまった今回のCDには「G.I.S.M.も音楽の歴史の一部になった」という感想を持ってしまったのも事実だ。 

ただ今回、封印が解かれたことで確実に良かったことは「これで故ランディー内田というすごい曲を書くギタリストについてちゃんと語ることが出来る」という点につきる。30年も封印されていたことでちゃんと評価されてこなかったのだからこれは本当に今こそそれをするべきだと思うし、そういう意味で今回のCDはおっさんが思い出で買うのでは無くて若い子が買えばいいと思う。